【年賀状の軌跡（１）】

年賀状の軌跡（１）

＝２０００年～２００７年＝

　年賀状作りの変遷

　年賀状作りには長年「プリントごっこ」を使っていました。イラスト集を利用して作った原版にインクをのせてペッタンペッタン。
　次にパソコンで作った原稿をスクリーン加工して原版にし、印刷だけは「プリントごっこ」でペッタンペッタン。パソコンで全部出来るのに「プリントごっこ」に執着していたのは、手を掛けているという満足感が、相手に温もりとして伝わって欲しいという願いでもありました。
　完全にパソコンのみで原稿作りから印刷までするようになったのは、２０００年の年賀状からです。それはやはり「プリントごっこ」では出来ない細かいこともやりたくなったかったからです。
　年賀状だけのおつき合いになってしまった大好きな友人達に、年に１度だけ届けるお便り。せめて気持ちを込めて手間暇かけて作りたいという思いがあります。でも作っている時間が単純に好きというのが一番大きいのかもしれません。

出来が良いかどうかはわかりませんが、その時の自分に出来るせいいっぱいの力で作った年賀状です。

２０００年

デザイン集から頂いた線画を加工しました。
元々３人（？）だった龍を４人に増やしてます。
彩色に試行錯誤出来るのはパソコンの良さですが、龍の顔塗りは色鉛筆タッチにこだわったので、マウスを細かく操作しほぼ手書き感覚です。結構時間が掛かっています。効果が見えにくいのが残念ですが。原画がこれ。

２００１

干支を使わない年賀状を作ることはめずらしいのですが、新しい世紀ということで、２１という数字を使いました。
究極のオリジナリティーには家族写真が最適なのですが、そのまま使うのではつまらないし、写真の出来次第ではむしろダサイかもと、こんな風に「２１」に埋め込んでみました。「２」と「１」それぞれ上下２枚の写真を繋いでいます。つなぎ部分のぼかし具合が、いい感じに出来たんじゃないかと満足しています。埋め込んだ感が出るように周囲を立体的にし、地模様で素材感を出しました。

２００２年

我が家のリビングで撮った家族写真をアートっぽく加工してみました。元の写真をどの程度残しながら崩していくか、その「加減」にかなり悩みました。時間をかけていろんなフィルタを試して、最終的にこんな感じです。お気づきでしょうか、壁に掛かっている額にも同じ写真を使っています。加工の仕方が違うのが微妙分かると思います。実際の我が家の壁には、ルノワールの絵が掛かっています。
背景の馬の地模様は、馬のイラストを元にして、私が作ったパターンです。無造作に並べるというのは何と難しいのでしょう。

２００３年

干支の羊から連想する「毛糸」のイメージと、家族のイメージを重ねて、それぞれの手袋を使いました。普通に並べて撮るのでは芸がないので、指で２００３を表現しました。ちゃんと気づいてもらえたかなぁ？　差出人の名前と住所を書くスペースはウールのマフラーを使いましたが、房の部分はイマイチ。別の端に置き換えても良かったかも。

２００４

あれこれいろんなデザインを試しましたが、ピンとくるものに出会えず、とても苦しんだ年でした。
猿の地模様を是非使いたいというのがまずあって、全面では鬱陶しいので、違う素材の紙を重ねたような質感と立体感を持たせた背景を作りました。その中に核となる存在が欲しいのになかなか見つからなくて、かなりあちこち探し回りましたが、結局「申」という漢字を使うことにしました。ちょうど窓が４つ空いているので家族の顔を埋め込んだのは、おまけです。

２００５年

この年初めて写真光沢紙の年賀ハガキが発売されました。たぶん気を利かしてだと思いますが、主人がこれを選んで買ってきたため、私はもの凄いプレッシャーに悩まされました。“光沢紙にふさわしいデザインはやはり写真か…　家族写真をそのままの形では使いたくない……　どうしよう”　悩んだ末に花の写真を使うことに決めたのですが、年賀状としてどう収めて良いのかまた難題。鳥を配した帯に出会ったときは嬉しかったです。
ただ、花の奥をぼかして文字を入れたのは、商業風でやりすぎだと娘に不評でした。

２００６年

どうしてもこの犬を使いたかったのですが、何と組み合わせてどう配置していいのかとても難しくて、毎日悩んでいました。犬を小さくしたり大きくしたり、ハガキを縦にしたり横にしたり。うまく収めてくれるパートナーが見つからなかったので、犬からパターンをもらってかごのようなポケットを作りボタンを乗せました。「初春」と「2006.1.1.」の文字も犬から貰ったパターンで書きました。これだけ濃いキャラクターを乗せてまとめてくれる背景は毛糸かなと、昔の手袋をスキャンして作ったパターンを使いました。
でも、完全に迷走したままだったなと…。

２００７年

＜元素材＞

折紙風の猪のシンプルさが気に入って、このイラストを使わせて頂こうと決めました。迷彩柄に換わって何か和風なパターンで塗ろうと、左上にある和柄を選びました。
背景とのバランスも気に入り、ついに私の年賀状作り最短記録樹立かと思いました。
ただ色がちょっと合わない気がするので、そこからがやや大変。Photoshopの色調補正を使って換えてみましたが、たぶん２０色以上試しました。でもどうしてもイメージ通りのものが出来ないので、一度色情報を捨てて、そこに色を加えるという手法をとりました。つまり単色の濃淡だけで作ったパターンです。でもそこからまた１０色以上悩みましたが…
最終的に家族の意見を参考に選び、さらに小さい猪の色を黄色系に変えることを思いつき、本印刷に至りました。
布の質感のあるパターンにしたので、例によって影をつけて立体的にしました。布の貼り絵のように見えるといいのですが。どうでしょう。
結局完成まで４～５日ですが、たぶん最短記録樹立です。